からだの錯覚を通して不安の向こう側へ
小鷹研究室は, 来たるべき新しい時代のメディア空間を縦横無尽に闊歩するであろう, 新しい<からだ>(body image)のかたちを模索しています. この刺激的な挑戦のなかで求められるのは, 何億年という時空を経て適応的に形成されてきたであろう<からだ>の成り立ちに対する回顧的な視線です. 僕たちが手に入れることができる新しい<からだ>は, (少し逆説的な言い方になるけれど)「既にそこにあるもの」の中からしか育たないからです.
これらの問題系を考えるにあたって, 「からだの錯覚」を実際に体験してみること, さらには, 新しい「からだの錯覚」を考案することは, 極めて良質なトレーニングの場を提供します. 小鷹研究室は, 認知心理学における重要な概念である「身体所有感 = body ownership」に対する理解を軸にして, 種々の心理実験から所有感を変調させるための必要条件を吟味するとともに, 昨今, 目まぐるしく刷新を繰り返しているバーチャル・リアリティー技術を積極的に導入し, 「具体的に体験可能なインタラクション装置」のなかで設計された(一見すると異質な)<からだ>のリアリティーを, 様々な尺度で検証しています.


小鷹研究室の略歴
『からだの錯覚』を中心テーマとして標榜している、日本で(おそらくは)唯一の研究室。研究テーマは、幽体離脱(重力反転)、身体の伸縮感覚、セルフタッチ、影・鏡・イラストによる所有感の変調など多岐にわたる。昨今、目まぐるしく刷新を繰り返すバーチャル・リアリティー(VR)技術を積極的に導入し、「具体的に体験可能なインタラクション装置」のなかで設計された一見すると異質な「からだ」のリアリティーを、様々な尺度で検証する。主宰者である小鷹研理は、2019年に認知科学会より第7回野島久雄賞を受賞。
近年の主なVR関連の発表に、手足が伸びる体験装置「Stretchar(m) 」(UNITY Award in EC2017, Siggraph Asia 2017) /「Elastic Arm Illusion」(Finalist in VR Creative Award 2018)/ 「Elastic Legs Illusion」(CHI 2020)、幽体離脱体験装置「Recursive Function Space」(Siggraph Asia 2017) / 「Self-umbrelling」(Siggraph Asia 2018)など。
2019年、鏡とディスプレイを組み合わせたインスタレーション「ボディジェクト指向」が、第22回メディア芸術祭・アート部門の審査委員会推薦作品に選出され、同年アルスエレクトロニカのキャンバス展に出品。また、「ボディジェクト指向」より派生した錯覚「Bodiject Fingers」が、Best Illusion Contest of the Year 2019のTop 10に選出され、国内外で多くのメディアに取り上げられる。
2015年より、毎冬に研究室展示『からだは戦場だよ』をやながせ倉庫・ビッカフェで開催。5回目を迎えた「からだは戦場だよ2018Δ ボディジェクト思考法」では、過去5年の総決算として、ゲストとして古谷利裕氏・金井学氏・前林明次氏をお呼びするなど、三日間にわたり、展示に加えトークセッション・レクチャーを開催し盛況を得た。そのほか、2016年、岐阜駅でワークショップ『おとなのからだを不安にさせる13のワーク』、2017年には名古屋市科学館『さわってビックリ!見てフシギ? 人間の皮膚』、2019年には『大名古屋電脳博覧会2019』(市民矢田ギャラリー)に参加。
経歴(小鷹研理)


受賞歴
Nominated in Top 10| Best Illusion of the Year Contest 2019
[YOUTUBE|Bodiject Fingers(2min.)]
[YOUTUBE|Bodiject Fingers on Channel of The Illusion contest]
[2019 ALL FINALISTS]
ノミネート作品選出|第25回学生CGコンテスト・エンターテインメント部門
[YOUTUBE|蟹の錯覚(からだは戦場だよ 2018)]
[CGC ARCHIVE]
[受賞理由]
>> 重力反転大車輪計画(岡田莞助・森光洋・小鷹研理)
一次審査通過|VRクリエイティブアワード 2019
[YOUTUBE|Head Popping Illusion)]
[YOUTUBE|重力反転大車輪計画]
審査委員会推薦作品|第22回メディア芸術祭・アート部門
[VIMEO|ボディジェクト指向]
[JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL ARCHIVE]
ファイナリスト選出|VRクリエイティブアワード 2018
[YOUTUBE]
UNITY賞|情報処理学会シンポジウム・エンターテインメントコンピューティング2017
[YOUTUBE|Stretchar(m)]
[論文PDF]
インタラクティブ発表賞|情報処理学会シンポジウム・インタラクション2015
[YOUTUBE|Rubber Hand Pointer]
[論文PDF]
BEST PAPER AWARD (Robotics)|2011 IEEE/SICE International Symposium on System Integration
[YOUTUBE|Rhythmical Exploration in Movable Obstacle Space]
[IEEE]
TOSHIO FUKUDA BEST AWARD FINALIST in MECHATRONICS|IEEE International Conference on Mechatronics and Automation 2009
[IEEE]
入選|Ask?映像祭 2007
[YOUTUBE|運動する眠り]
BEST STUDENT PAPER FINALIST AWARD|IEEE International Conference on Systems, Men, and Cybernetics 2005
[IEEE]
学生奨励賞・大会論文賞|情報処理学会第67回全国大会
[論文PDF]
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